)” の例文
ビクトワールは刑事連中の方ですでに自分等のことを嗅ぎ出して張り込んでいるんだとひとめに思い込んでしまっていた。
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
彼女は近頃調子を合せず、いつも一人めの意見を持出し、押しの強い仕打ちがあるのを見てもよくわかる。
端午節 (新字新仮名) / 魯迅(著)
「俺は約束をしたような覚えはねえよ。お六さんが自分の心持で一人めにしたんじゃないか」
と一人めにして、その上に、新妻にいづまを後妻になれ、後妻にする、後妻の気でおれ、といけ洒亜々々しゃあしゃあとして、髪を光らしながら、鰌髭どじょうひげの生えた口で言うのは何事でしょうね。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これに対して、時間めの女中を世話する派出婦会が、東京市中に殖えて来た。これも新生な意味の職業婦人に入れられると云う人と、入れられぬと云う人とあるそうである。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
今まで人跡未蹈と独りめで信じていた自分等は、あれ程立派な道形があったにもかかわらず、人が通ったことのない沢として置きたいので、仰山らしくこんな言葉をいい交わした。
釜沢行 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
彼の血みどろな作品、彼の異様な日常生活の知識などが、我々をして、この様な犯罪は春泥でなくては出来るものでないと、てんからひとめに極めさせてしまったのではありますまいか。
陰獣 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ちょッくりッこのぐいめと往きやしょう
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
知ってる、僕は自分めかも知らないが、お前さんの心は知ってるつもりだ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)