トップ
>
楔形
>
くさびがた
ふりがな文庫
“
楔形
(
くさびがた
)” の例文
今朝、朝食後、
大灌奠式
(
ローヤル・カヴァ
)
を見る。王位を象徴する古い石塊にカヴァ酒を
灌
(
そそ
)
ぐのだ。此の島に於てさえ半ば忘れられた
楔形
(
くさびがた
)
文字的典礼。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
兵頭との間は、三間余りも離れていたから、五人の輦台は、二人を、左右へ放して、別々に討取るように、
楔形
(
くさびがた
)
になって、追って来た。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「——字は大して違いますまい。言葉の方は昔から大分違って来ていますが——字でも、大昔はあんなのでない
楔形
(
くさびがた
)
文字を使ったのです——」
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
広大な庭のあちこちに、
篝火
(
かがりび
)
が
楔形
(
くさびがた
)
に焚かれている、
甲胄
(
かっちゅう
)
姿の軍卒が、槍や長柄を輝かせながら、警護している姿が見えた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さしずめ、博士邸の裏に、下水を築く為に置いてある、沢山の石塊の内の一つだということは、
楔形
(
くさびがた
)
に
削
(
けず
)
られたその恰好から丈けでも明かである。
一枚の切符
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
此の軍隊の最初の列は何時も
楔形
(
くさびがた
)
に並んでゐる。そして列をつくつてゐる毛虫の数がだん/\にふえて来るので、その外の列は、幾分か拡がるやうになる。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
すると意外にも、その
楔形
(
くさびがた
)
をした破れ目の隙から、濛々たる温泉のような蒸気が
迸
(
ほとばし
)
り出たのだった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
有名な石郷氏は
楔形
(
くさびがた
)
の髭を反らせて、斯う鷹揚に言います。柳糸子の新しいパトロンを以って任じて居る富豪で、言葉遣いの尊大なのは、身分柄のせいばかりではありません。
踊る美人像
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
もはや思念は、鋸と材木に凝りかたまった。唇をひんまげるのだ。腰をかがめて
楔形
(
くさびがた
)
の矢を取った。それを木口に
挾
(
はさ
)
んで一歩うしろにさがった。
手許
(
てもと
)
にあった掛矢をふりかぶった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
一所
(
ひとところ
)
闇が千切られた。そこへ
楔形
(
くさびがた
)
の穴が
穿
(
あ
)
いた。焔が楔形に燃え上がったのであった。五人の者は火を囲んだ。風に消されまいと取り囲んだ。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
両河地方
(
メソポタミヤ
)
では
埃及
(
エジプト
)
と違って
紙草
(
パピルス
)
を産しない。人々は、
粘土
(
ねんど
)
の板に
硬筆
(
こうひつ
)
をもって複雑な
楔形
(
くさびがた
)
の
符号
(
ふごう
)
を
彫
(
ほ
)
りつけておった。書物は
瓦
(
かわら
)
であり、図書館は
瀬戸物屋
(
せとものや
)
の倉庫に似ていた。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
それを詳しく云うと、合わせた形がちょうど二の字形をしていて、その位置は、甲状軟骨から胸骨にかけての、いわゆる前頸部であったが、創形が
楔形
(
くさびがた
)
をしているので、鎧通し様のものと推断された。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
さて次は
奴僕宮
(
ぬぼくきゅう
)
、——
頤
(
おとがい
)
を変えなければなりません。よい頤でございますこと。方潤豊満でございますこと。……これを
楔形
(
くさびがた
)
に致しましょう。そうして
乱文
(
らんもん
)
斜文
(
しゃもん
)
をつくり、暗濁昏瞑に致しましょう。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
寝椅子へ額を押しあてて、ベッタリ
臥伏
(
うつぶ
)
せに寝たのである。襲衣の襟が
楔形
(
くさびがた
)
に、深く背の方へひかれたためか、背筋まで見せて頸足が、ろくろっ首のように長くなった。そこへ髪の毛がもつれている。
怪しの館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“楔形”の意味
《名詞》
楔のような形状であること。
(出典:Wiktionary)
楔
漢検1級
部首:⽊
13画
形
常用漢字
小2
部首:⼺
7画
“楔形”で始まる語句
楔形文字