林泉りんせん)” の例文
林泉りんせんあるところ百禽集まるで、自然、この地方に風を慕ってくる学徒や名士が多かった。潁上えいじょう徐庶じょしょ、汝南の孟建もうけんなども、そのともがらだった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軒冕けんべん(高貴の人の乗る馬車)の中におれば、山林の気味なかるべからず。林泉りんせん田舎いなかの意)の下にりては、すべからく廊廟ろうびょう朝廷ちょうてい)の経綸けいりんいだくを要すべし」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
林泉りんせんのさま見事なる料理屋の座敷に尾上松助おのえまつすけ胡弓こきゅうの調子を調べつつ三絃さんげん手にせる芸者と居並び女形おんながたの中村七三、松本小次郎の二人ふたり箱引はこひきの戯れなすさまを打眺めたり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
林泉りんせんのほとりに今日きょう若者わかものはひとりうっそりしゃがんでいた。かんむりはほころびくつにはあながあき、あごにははらはらとぶしょうひげがみられ、頬骨ほおぼねの下にはのみでえぐったようなくぼみがあった。
おしどり (新字新仮名) / 新美南吉(著)
三界のほこりやあくたの大河も遠く霞の下に眺められ、叡山えいざんの法燈鳥語もまだ寒い芽時めどきを——ここ無動寺むどうじ林泉りんせんじゃくとして、雲の去来のうえにあった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると林泉りんせんの奥に、チラと灯が見えた。こつん、こつん、と六尺棒を突いて来る音がする。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)