東男あずまおとこ)” の例文
えにしがあらばゆるゆるとか申しおったが、東男あずまおとこはとかく情強じょうごわじゃほどに、深入りせぬがよかろうぞとな。よいか。しかと申し伝えろよ
あいつらはあれで東男あずまおとこには相違があせんが、京女に持てるという柄じゃがあせん、つまり、コレでげすよ、コレの威光で持てるんでげす。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「京男とちがって東男あずまおとこには、よいところがあるかもしれないからねえ、お前達二人も連れて行って、東男を見せてあげよう」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
夫婦かいな、と、抜かしゃがって、何うどすえ、と、称めやがらねえから、一番、おどかしてやったんで——何うも、京女郎おんなに、東男あずまおとこなんて、何を云ってやがる。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
それに比ぶれば、七三郎どのの巴之丞は、都にて初ての狂言じゃ。京の濡事師ぬれごとしとはまた違うて、やさしいうちにも、東男あずまおとこのきついところがあるのが、てんとたまらぬところじゃ
藤十郎の恋 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
この物語のあった当時の綾麿は二十一歳の、血統が血統だけに、典型的な東男あずまおとこでした。
情がうつるかと聞いたんだってえのよ、返事がとんちんかんだから、いややつだと思われようってもんさ。だけれど、その時いってたね、東男あずまおとこは金ばなれがいいってさ。そういったってお前さん。
東男あずまおとこ京女きょうおんなということわざはいつごろから出来たものか知らないが、事実はこの時代にやはりそうであったものだそうであります。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
京都へ行って見さっし、長州だといったところで、薩摩だといったところで、江戸のさむらいほど京女に持てるのはありゃしませんぜ、京女に鼠なきをさせるのは、東男あずまおとこに限ったものでゲス
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東男あずまおとこを気取ったやからが、かなりいい気な耽溺たんできをしていたたあいなさ。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)