未亡人びばうじん)” の例文
ある未亡人びばうじんなどは日本の物事と云へばなにでも愛着して、同じ仲間の婦人と竹刀しなへを執つて撃剣をしたり経を読んだりなんかするさうだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ればよなとおもひながら、殊更ことさららずがほよそほひつゝ、主人あるじ御婦人ごふじんなるにや、さて何某殿なにがしどの未亡人びばうじんとか、さらずはおもひものなんどいふひとか、べつしてあたへられたる邸宅ていたくかとへば
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ある若い未亡人びばうじんの態度が常にNの心の問題となつてゐることもつゞいて繰返して考へられた。
路傍の小草 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
細君は自分が未亡人びばうじんのやうな身の上になつたと云ふ事に気が付いて、それをひどく興味があるやうに思つてゐるらしい。暫くして細君は云つた。「ですけれど、気の毒な事は気の毒ですわね。」
さてステパンが幼年学校に這入ると同時に、未亡人びばうじんは娘ワルワラを連れてペエテルブルクに引越して来た。それは息子のゐる学校の近所に住つてゐて、休日には息子に来て貰はうと思つたからである。
親切な今の良人をつとこの若い未亡人びばうじん幼児をさなごとを助けたいめに進んで結婚を求めたのであつたと夫人が語られた。同じく食堂には薄桃色をした鸚鵡あうむの籠が吊されて居た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)