朧々ろう/\)” の例文
土の上はしっとりと湿しめっていて、空気の肌ざわりはつめたいのだけれども、空は弥生やよいのものらしくうっすらと曇って、朧々ろう/\と霞んだ月が花の雲を透して照っているので
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
裏道傳うらみちづた二町にちやう三町さんちやう町名ちやうめいなにれねどすこりし二階建にかいだて掛行燈かけあんどんひか朧々ろう/\としてぬしはありやなしや入口いりぐちならべし下駄げた二三足にさんぞく料理番れうりばん欠伸あくびもよすべき見世みせがゝりの割烹店かつぽうてんあり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
朧々ろう/\たる低き戸のかまち
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)