月桂樹げっけいじゅ)” の例文
かわいらしい半裸体のこどもらが、道ばたの香り高い月桂樹げっけいじゅの林のなかで、まっ黒なぶたの群を飼っていました。
月桂樹げっけいじゅの枝を折り取ることと死人の靴を盗むこととは、同一人の手には不可能事であるようにわれわれは思う。
しかしながら、激しいたたかいによってのみ得られる享楽であり、力の勝利を冠する月桂樹げっけいじゅである。芸術とは、征服せられたる人生なのだ。人生の帝王なのだ。
その人のひたい月桂樹げっけいじゅの冠は、他の誰にも見えないので、きっと馬鹿扱いを受けるでしょうし、誰もお嫁に行ってあげてお世話しようともしないでしょうから
きりぎりす (新字新仮名) / 太宰治(著)
……あの頃はみんな純粋だった、金も無いし名もないが、みんな頭には月桂樹げっけいじゅの冠をかぶっていたからね。きみなんぞとは違うんだ、きみなんぞは。……飲め周五郎、くよくよするな。
陽気な客 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ひどく貧乏な百姓家でも、緑色の月桂樹げっけいじゅひいらぎを飾りたてて、祝日を迎えた。
巨男おおおとこのむくろは月桂樹げっけいじゅの葉でおおわれて都の東にある沙丘さきゅうほうむられました。
巨男の話 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
砂利じゃりの積みかさなったあいだで、ろばが緑の月桂樹げっけいじゅかきの上を歩いて、やせたアザミを喜んで食べています。
その桟敷さじきの上には、豊頬ほうきょうの天使が二人、足を踊らして、王冠を宙にささげていた。劇場のありさまはあたかも祭典のようだった。舞台はかしの枝や花咲いた月桂樹げっけいじゅで飾られていた。
僕は、愛の象徴たる天人花、戦いの象徴たる月桂樹げっけいじゅ、平和の象徴たる愚かな橄欖オリーブ、種子でアダムののどをふさごうとした林檎りんご、裳衣の先祖たる無花果いちじく、などを証人としてそれを主張するんだ。
老人は客の室を、幾月もの滞在をいるかのようにしつらえていた。花瓶かびんにいけた薔薇ばらと一枝の月桂樹げっけいじゅとを、テーブルの上にのせておいた。机の上には真新しい吸取紙を備えておいた。
廃兵院の将校らが、月桂樹げっけいじゅの枝を持ってすぐ棺車の後ろに従った。
方形の花壇を一つそなえてる、小さな石だたみの中庭、花壇の中にゼラニュームやペチュニアの茂みの間から伸び出てる、二株のリラ、運河を見おろす覧台テラースの上に花咲いてる、月桂樹げっけいじゅ柘榴ざくろとのはち