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暖味
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あたたかみ
ふりがな文庫
“
暖味
(
あたたかみ
)” の例文
それが多少黄に染まって、幹に日の
射
(
さ
)
すときなぞは、軒から首を出すと、土手の上に秋の
暖味
(
あたたかみ
)
を
眺
(
なが
)
められるような心持がする。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
明智は、ピッタリと密着した相手の膝の、すべっこい
暖味
(
あたたかみ
)
を感じた。彼自身の膝の上で、グリグリと蠢く相手の指先を感じた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
しかし義清の眼は飽くまで小乗小愛の悩みに溺れ、彼の眼は大乗の海にも似て、満々たる涙をたたえながらも、なお仰ぐ人をして、何か洋々たる未来と
暖味
(
あたたかみ
)
を抱かしめる。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私の
太腿
(
ふともも
)
と、その男のガッシリした偉大な
臀部
(
でんぶ
)
とは、薄い鞣皮一枚を隔てて、
暖味
(
あたたかみ
)
を感じる程も密接しています。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
自分はこの火の色に、始めて一日の
暖味
(
あたたかみ
)
を覚えた。そうしてしだいに白くなる灰の表を五分ほど見守っていた。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
落ちついた調子のうちに、何となく
温
(
ぬる
)
い
暖味
(
あたたかみ
)
があった。すべての枝を緑に返す用意のために、
寂
(
さ
)
びたる中を人知れず通う春の脈は、甲野さんの同情である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
骨ばかり意地悪く高く残った頬、人間らしい
暖味
(
あたたかみ
)
を失った
蒼
(
あお
)
く黄色い皮、落ち込んで動く余裕のない眼、それから無遠慮に延びた髪と髯、——どう見ても兄の記念であった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうして、来た時よりは幾分か空気に
暖味
(
あたたかみ
)
が出来た。平岡は久し振りに一杯飲もうと云い出した。三千代も支度をするから、
緩
(
ゆっく
)
りして行ってくれと頼む様に留めて、次の間へ立った。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが今日帰りを待ち受けて
逢
(
あ
)
って見ると、そこが兄弟で、別に御世辞も使わないうちに、どこか
暖味
(
あたたかみ
)
のある仕打も見えるので、つい云いたい事も後廻しにして、いっしょに湯になんぞ
這入
(
はい
)
って
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗助は
仕立
(
したて
)
おろしの
紡績織
(
ぼうせきおり
)
の背中へ、
自然
(
じねん
)
と浸み込んで来る光線の
暖味
(
あたたかみ
)
を、
襯衣
(
シャツ
)
の下で
貪
(
むさ
)
ぼるほど
味
(
あじわ
)
いながら、表の音を
聴
(
き
)
くともなく聴いていたが、急に思い出したように、障子越しの細君を呼んで
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
宗近君の言葉には何だか
暖味
(
あたたかみ
)
があった。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
暖
常用漢字
小6
部首:⽇
13画
味
常用漢字
小3
部首:⼝
8画
“暖”で始まる語句
暖簾
暖
暖炉
暖簾口
暖爐
暖国
暖気
暖室
暖房
暖炉棚