早飛脚はやびきゃく)” の例文
ところで電気の早飛脚はやびきゃくによれば、たましいは、太陽と同じ道のりを、もっと少い時間でとんでいってしまいます。
この外交郵便夫というのは、郵送できない外交上の重要物件を身に付けてもっていく。まあ、早飛脚はやびきゃくみたいなもので、どこの国でも、必要におうじてやっている。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
しかも佐竹家が率先してつとにこれを崇敬すうけいした動機は、すぐれて神通力という中にも、特に早道はやみち早飛脚はやびきゃくで、しばしば江戸と領地との間に吉凶を報じた奇瑞きずいからであった。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その留守の間に、ふとした事から秘密が破れて、彼の仲間の一人が召捕られた。長崎の奉行所からは早飛脚はやびきゃくに絵姿を持たして、彼の召捕り方を大坂の奉行所へ依頼して来た。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
隣国諫早いさはや鳥栖とす、博多、要所要所の親類へはことごとく早飛脚はやびきゃくをだして、もし小金吾が立ちよったならば意見をして老母のもとへかえしてくださるようにと、くれぐれもたのんでやりました。
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
……どうでも、十分ばかり遅れるのです。……念を入れて、もう一度やった、が、やっぱりいけない。……それで、今度は、加賀さまの早飛脚はやびきゃくで、小田原の吉三きちさというのを頼んで駈けさせた。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
問屋の九太夫がまずそれを彦根ひこね早飛脚はやびきゃくから聞きつけて、吉左衛門にも告げ、金兵衛にも告げた。その黒船の現われたため、にわかに彦根の藩主は幕府から現場の詰役つめやくを命ぜられたとのこと。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と江戸から早飛脚はやびきゃくで、下谷大門町の伯父勘藏が九死一生で是非新吉に逢いたいと云うのでございますが、只今の郵便の様には早く参りませんから、新吉も心配して、兄三藏と相談致しますと
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どう仰せられても、面目はございません」と、李成は沓を拾って捧げながら——「このうえは、再度の早飛脚はやびきゃくで朝廷のご急援を切に仰ぐこと。——次には、近くの各県に合力ごうりき下知げちせられること。 ...
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
詳しく事情を認めて江戸の伝兵衛のところへ早飛脚はやびきゃくを立てた。
「その仲間態ちゅうげんていではいかん。早飛脚はやびきゃくの支度を」
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三太郎猿さんたろうざる早飛脚はやびきゃく
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)