日比ひごろ)” の例文
日比ひごろ伯林ベルリンの留學生の中にて、或る勢力ある一群と余との間に、面白からぬ關係ありて、彼人々は余を猜疑し、又遂に余を讒誣ざんぶするに至りぬ。
舞姫 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
娘を九条の叔母に頼みて君の御跡を追ひまゐらせ、同じ御仏の道に入り、高野の麓の天野といふに日比ひごろ行ひ居りはべるなり
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
とどまりて三八いたはり給へと、まことある詞を便りにて日比ひごろるままに、三九物みな平生つねちかくぞなりにける。
しかし、日比ひごろ信用している友人のことであるから、べつに疑うことはなかった。
雀が森の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
しかも日比ひごろから彼が居らなくばと願つて居た将門に其の婦人を得られたとしては、要撃してうらみを散じ利を得んとするといふことも出て来さうなことである。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
なほ我地位をくつがへすに足らざりけんを、日比ひごろ伯林ベルリンの留学生のうちにて、或る勢力ある一群ひとむれと余との間に、面白からぬ関係ありて、彼人々は余を猜疑さいぎし、又つひに余を讒誣ざんぶするに至りぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ねがはくは其事のいつはり妄にてあれかしと日比ひごろ念じまゐらせし甲斐も無う、さては真に猶此裟婆界しやばかいに妄執をとゞめ、かの兜卒天とそつてんに浄楽は得ず御坐おはしますや、いぶかしくも御意みこゝろばかり何に留まるらん
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
日比ひごろ悩み給へるに、かく揺りもて行けば、いかに苦しと思召すらむ。強ひてねりもて行かむとおもへど、しづ心なくて、いつしか足疾くなりぬと云ふ。いな、心地は此日比よりもさわやきぬ。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
云ふべきかたも無く静なれば、日比ひごろ焼きたる余気なるべし今薫ゆるとにはあらぬ香の、有るか無きかに自然おのづから匀ひを流すもいとく知らる。かゝる折から何者にや、此方を指して来る跫音す。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)