)” の例文
みぶと云ふ事は、奈良朝には既に、乳母の出た家をすことになつてゐたらしい。其証左には、壬生部を現すのに、乳部と書いてゐる。
貴種誕生と産湯の信仰と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
処が、一代前の宇多帝から数へ出すと、平安朝最初の天子、桓武天皇をしたことになる。年数は百年以上、といふ事が出来る。
万葉集のなり立ち (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
地上の庶物をす事を考へれば、又草木岩石も物を言ひ人に化したりしてゐる事を考へれば、此成語の本来の意義は知れる訣だ。
まじこりを呪咀トコヒの結果と見るのはわるい。他に関する悪意と言ふよりも、利己的な動機の為に、人を顧る暇のなかつた場合をすのである。
まじなひの一方面 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
私は此章で、まれびとは古くは、神をす語であつて、とこよから時を定めて來り訪ふことがあると思はれて居たことを説かうとするのである。
どこから來るとも訣らないが、墓地から來るとは言はぬらしい。小濱島では、オホやまとから來ると言うて居るから、海上の國をすのであらう。
殿トノ(又、とん)と言ふのにも、色々ある。右のやうな殿もあり、又、祝女殿内ノロドンチ(ぬるどのち=ぬんどんち)の様に、祝女の住宅をす事もある。
琉球の宗教 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
頻々たる思ひ入れ(圧搾した表情とでも申しませうか。はらが形式化し、描写要素を多く持つて来たことをす様です)
芝居に出た名残星月夜 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
万葉集中の歌をし示すより外はないのであつて、集以外の後代の作物から、万葉式なものをとり出すと言ふ段になると、明らかに多くの場合は
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
よび茶屋の女房を言ふ事もあり、おき屋の廻しの女をしても居る。くわしやを遣り手とも言うてゐるが、後にはくわしやよりも、やりてが行はれた。
河童の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
宣る時の神事様式を示す語で、詔旨を宣べる人の座をして言つたものらしい。即、平安朝以後始中終しよつちゆう見えた祝詞座・祝詞屋の原始的なものであらう。
三史の中、史記・漢書には問題はない様であるが、残る一部は「後漢書」の名で記されて居るけれど、其が果して、今の後漢書をすものともきまらない。
日本書と日本紀と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
日本紀には、カゲ四縵・矛四矛を大后に奉り、縵四縵・矛四矛を御陵に奉つたとある。桙と言うても、棒のみをすものではなく、かげは冑をまで称せられた。
花の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「よ」と言ふ語の古い意義は、米或は穀物をしたものである。後には、米の稔りを表す様になつた。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
一体よと言ふ語は、古くは穀物或は米をしたものと思はれる。後には米の稔りを言ふ様になつた。
併し、宴はじまつて後の手拍子をすのでなく、宴に先だつての禮拜を言ふ語であつたのである。
ともかくも初夢が、元朝目の覚めるにさきだつて、見られたものをした事は疑ひがない。
古代生活の研究:常世の国 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
前にも引き合ひに出たすくなひこなの神なども、常世へ行つたと言ふが、実は、ヒムシの皮を全剥ウツハぎにして衣とし、蘿摩カヾミサヤの船に乗る仲間の矮人ヒキウドの居る国に還住したことをすのであらう。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
おには「鬼」といふ漢字に飜された為に、意味も固定して、人の死んだものが鬼である、と考へられる様になつて了うたのであるが、もとは、どんなものをしておにと称したのであらうか。
鬼の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
関係悲劇(まづい語ですが、人事の交渉から出て来ることをすのです)とでも申すべきものでせう。見物を詭計オコハにかけて、あつと言はせた旧式の結構の欠陥は、十分知つて居られる博士です。
芝居に出た名残星月夜 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
まきもくの穴師アナシの山びとも、空想の仙人や、山賤ヤマガツではなく、正真正銘山カヅラして祭りのニハに臨んだ謂はゞ今の世の山男の先祖に当る人々をしたのだ、と柳田国男先生の言はれたのは、動かない。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
われ/\の文献時代の初めに、既に見えて居たことばに、ひとぐに・ひとの国と言ふのがある。自分たちのと、寸分違はぬ生活条件を持つた人々の住んで居ると考へられる他国・他郷をしたのである。
妣が国へ・常世へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)