斑点まだら)” の例文
旧字:斑點
此方こっち振袖石ふりそでいし、振袖の形をしている。彼方あっちのが蛸石たこいし。そら、下の隅のところに蛸の形の斑点まだらが出ているだろう?」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
その血痕けっこんのどす黒い斑点まだらが、つい笹村の帰って来る二、三日前まで、土にみついていた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
蜘蛛の白い体に、無数に附着いてる斑点まだらは、五味左衛門のはらわたによってけられた血の痕であり、その後、左門によって、幾人かの人間が斬られ、その血が飛び散って出来た斑点でもあった。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
背材せたけはそうたかくはございませぬが、総体そうたい地色ぢいろしろで、それに所々ところどころくろ斑点まだらまじったうつくしい毛並けなみ今更いまさら自慢じまんするではございませぬが、まった素晴すばらしいもので、わたくしがそれにって外出そとでをしたときには
主人は六十近い老人で、禿げた頭顱あたまの皮膚に汚い斑点まだらが出来ており、裸になると、曲った背骨や、とがった腰骨のあたりの肉も薄いようであったが、ここに寝泊りする夜はまれであった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
左の目の縁が薄紫の斑点まだらをもつて、片頬へまで爛れたやうになつてゐた。
浪の音 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)