握飯おむすび)” の例文
祖母おばあさんがほほつゝんでくださるあつ握飯おむすびにほひでもいだはうが、おあししてつたお菓子くわしより餘程よほどおいしくおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この祖母おばあさん、江戸へ来て嫁入って、すぐ大火事にあって、救米のおむすびをもらった時、そばにいた者がお腹がすきすぎて、とうてい一個ひとつ握飯おむすびでは辛棒がなりかねるとなげくと
そこで与八も、大口をあいて無遠慮に握飯おむすびを頬張ることもなり兼ねていると、伊太夫が
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
用心のいい祖母は、他家へ火事見舞に、握飯おむすびごと入れておくる新しい大きな飯櫃をつくらせておくのだった。それが、蔵の三階の棚にあるのを、勝手を知った彼はよく知っていた。
小高みになった藪蔭やぶかげのところに竹樋たけといを通した清水をすくいながら、握飯おむすびを郁太郎にも食べさせ、自分も食べていると、不意に後ろから人の足音があって、ガサガサッと藪の下萌したもえが鳴る。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)