挙止きょし)” の例文
旧字:擧止
一家中という大勢から遊離ゆうりして、一藩の主脳でも一列の主体者でもない、みなしごのごとき一箇の人間として挙止きょしするような姿がまま見られた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その挙止きょし活溌かっぱつにして少しも病後びょうご疲労ひろうてい見えざれば、、心の内に先生の健康けんこう全くきゅうふくしたりとひそかに喜びたり。
当時の普通一般の女を離れて、男性の方に一歩変化しかけたように感ぜられる婦人であった。挙止きょしは如何にもしとやかであった。言葉はいかにも上品であった。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
彼らの挙止きょしの礼は、九重ここのえ清涼せいりょうと何ら変らないが、二人の衣冠は、ぼろぼろだった。鼠の巣を鼠の影がちょろちょろ出入りしているようであった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがあるので、清盛は、つい、盛遠の挙止きょし言動げんどうに、ひとより細かい眼をそそぐようになっていた。
また、挙止きょし進退、明晰めいせきなことばつき、ゆかしげな才識。——語れば語るほど、見入れば見入るほど
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高毬こうきゅうほどな男とて、そのへんの挙止きょしはさだめし心得ていたことだろう。王大将ノ宮から直々の試問をうけても、彼は、自己の才をすぐ喋々ちょうちょうとひけらかすようなまねはしなかった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、慈円僧正が、身にひきうけてとまでいいきって、官へ印可いんかをとりにやったのは一朝の決断ではなかった。先刻からの座談のうちに、烱眼けいがん、はやくも、十八公麿の挙止きょしを見て
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平常は書をよみ、挙止きょし物静かで、よく人に愛賢あいけんを持っていたので、ここでも
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信孝が立つと、同じく、父信長、兄信忠の霊を拝し、これは信雄の前例を見ているので、諸将に笑われまじとするかの如く、まことに挙止きょし正しく、新君三法師にも謹んで伏礼をして退った。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ挙止きょしやことばが静かなだけで、酒量は誰にもけはとらない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉は、この一美丈夫の挙止きょしを、始終、見ていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)