指図さしづ)” の例文
旧字:指圖
土井の所へ報告に往つた堀が、東町奉行所に帰つて来て、跡部あとべに土井の指図さしづを伝へた。両町奉行に出馬せいと指図したのである。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
此家うちでは賓客きやくかへつたあとと見えまして、主人あるじみせ片付かたづけさせて指図さしづいたしてりますところへ、おもてからこゑけますから、主
あんまりな御挨拶で! 女だと思召おぼしめして有仰おつしやるのかは存じませんが、それまでのお指図さしづは受けませんでよろしうございます」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
女の指図さしづにまかせ、何かはしらず守り札ひきまくり捨てければ、女はよろこび戸をひらき、家へ入るよと見えしがしてゐたる女房ののどにくひつき、難なくいのちをとりて
案頭の書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そしたら技師の指図さしづだとて腸詰を一斤と麺包パンを一つ持つて来て呉れて、それから砂を積むだ別の無蓋車に移された。今度は軟かで坐り心地が羽蒲団のやうだ。で、砂の上に座つて腸詰を食ひながら
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
彼は先の程より台所につめきりて、中入なかいりの食物の指図さしづなどしてゐたるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そして刀をかまへながら言分いひわけらしく「先生のお指図さしづだ」と云つた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)