打着ぶつか)” の例文
森のあいからながめていますと、けたたましい音を立てて、ぐるぐる舞いじゃ、二三度立樹たちき打着ぶつかりながら、くだんのその昼間の妖物ばけもの退治が、駆込んで参りました。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
丁度それが眉間みけん打着ぶつかつて血が淋漓だらだら流れて、顔が半分真赤に成つて了つた。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
そうすると、あかるくなって、いわ附着くッついた、みんなの形が、顔も衣服きものも蒼黒くなって、あの、おおきまぐろが、巌に附着いておりますようで、打着ぶつかります浪のしぶきが白くかかって見えました。
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
海から吹抜けの風をいとってか、窪地でたちまち氾濫あふれるらしい水場のせいか、一条ひとすじやや広いあぜを隔てた、町の裏通りを——横に通った、正面と、撞木しゅもく打着ぶつかった真中まんなかに立っている。
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)