所以ゆえ)” の例文
政府が人権を蹂躙じゅうりんし、抑圧をたくましうしてはばからざるはこれにてもあきらけし。さては、平常先輩の説く処、まことにその所以ゆえありけるよ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
所以ゆえあるかな、主税のその面上の雲は、河野英吉と床の間の矢車草……お妙の花を争った時から、早やその影が懸ったのであった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
景隆小字しょうじ九江きゅうこう、勲業あるにあらずして、大将軍となれる者は何ぞや。黄子澄、斉泰のすすむるにるも、又別に所以ゆえ有るなり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
シューベルトの優しく美しき音楽は、この小児の如き心根に胚胎はいたいしたのである。春のの如く、聴く者の心を和めずにおかないのも、また所以ゆえありと言うべきである。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
「帝は万物の霊を生じ、これをして天功をたすけしむ、所以ゆえに志趣は大にして、しん六合りくごうの中に飛ぶ」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
されどもわれ彼の猿に、意恨うらみを受くべきおぼえなければ、何故なにゆえかかる事をすにやト、更に心に落ちざりしに、今爾が言葉によりて、かれが狼藉の所以ゆえも知りぬ。然るにかれ今日もまた、同じ処に忍びゐて。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
燕王父子、天縦てんしょうの豪雄に加うるに、張玉、朱能、丘福等の勇烈をもってす。北軍のち、南軍のついゆる、まことに所以ゆえある也。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
所以ゆえに いにしえ の君子
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)