ゆか)” の例文
旧字:
そして何ともいえないゆかしさを感じて、『ここだ、おれの生まれたのはここだ、おれの死ぬのもここだ、ああうれしいうれしい、安心した』
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あれお夏/\と呼ぶわいの、おう/\其所にか、どこにぞ、いや/\いや待て暫し、あれは我屋わがやに父の声、我を尋ねて我を呼ぶ、親もゆかしや、つまも恋しや、父は子を
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
隠れたるゆかしき同情者を有すること、ロイド・ジョージのごとく多きものはいまだかつてない
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
もりを越え、田を横ぎり、また林を越えて、しのびやかに通りく時雨の音のいかにもしずかで、また鷹揚おうような趣きがあって、やさしくゆかしいのは、じつに武蔵野の時雨の特色であろう。
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)