惨殺ざんさつ)” の例文
だんだんと嫌疑が鈴江の方に向いて来るようなみちをとらせ、思う存分ぞんぶん、鈴江を脅迫し恐怖させた上で、最後に惨殺ざんさつしてやろうと思ったのである。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
信頼のぶよりの怨霊が成親殿なりちかどのにのりうつったのだ。あの平治へいじの乱に清盛きよもり惨殺ざんさつされた信頼の怨霊が。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
惨殺ざんさつ、麻酔、魔薬、妖女ようじょ、宗教———種々雑多の傀儡かいらいが、香の煙に溶け込んで、朦朧もうろうと立ちめる中に、二畳ばかりの緋毛氈ひもうせんを敷き、どんよりとした蛮人のようなひとみえて、寝ころんだまま
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この驚くべき事実が報告されてみると、警視庁では、第一の犠牲者の春江惨殺ざんさつ事件に於ても同様の手段がとられたものと確信をもつようになった。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
殺害状況は、前の春ちゃんの惨殺ざんさつの時のと、まるで写真にとったように同じ状況を再演した。いて相違の個所を挙げるならば、こんなことになる。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
五十嵐庄吉が惨殺ざんさつされ、しかも左肋骨の下に不可解の潰瘍の存することについて、皆さんは心当りがないであろうか。
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
本日午後五時半、上海市の共同租界そかい内で、我が滝本総領事たきもとそうりょうじが○国人の一団により、惨殺ざんさつされましたお話であります。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
第三に、最も不審なことと云えば、女湯で惨殺ざんさつされた彼の婦人の着衣も下駄も一物として発見されぬ事である。
電気風呂の怪死事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
無念にも蠅男とお竜の術中におちいり、いま湯気に煙る砂風呂のうちに惨殺ざんさつされようとしているのであった。
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何條なんじょうもってたまるべき、僕はたちどころに惨殺ざんさつされてしまった——。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)