悪洒落わるじゃれ)” の例文
こういう、あくどい即興歌そっきょうかは、堂上たちの、お得意だった。貴族たちが、皮肉なる悪洒落わるじゃれに長じていた例は、古くからいくつもある。
「見てをるよ」といふも少しいかがはしき言葉にて「さうかよ」と悪洒落わるじゃれでもいひたくなるなり。(三月三十一日)
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そこで彼はパイプに火をつけ、をかがめて、いつものひどい悪洒落わるじゃれがすむのを、静かにつのであった。クリストフの祖父そふと父は、彼をあざけりぎみに軽蔑けいべつしていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
たたえる意味にこそなれあなどる心ではなかったけれども遊里の悪洒落わるじゃれれない春琴は余りよい気持がしなかったいつも眼明きと同等に待遇たいぐうされることを欲し差別されるのを
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「おい、おばさん。孫新もだ。悪洒落わるじゃれはいい加減にして貰いたいな。こっちは官の勤務が忙しい体なんだ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はいる前によくくつき、皆に一人一人年長順に挨拶あいさつをし、室のいちばん末席に行ってすわった。そこで彼はパイプに火をつけ、背をかがめて、例の悪洒落わるじゃれあらしが過ぎ去るのを静かに待った。
まったく初心うぶな未経験者を一人ぼっち残して置いて、後で笑いの種にしようという、この大人達の計画的な悪洒落わるじゃれではないかと、武蔵は邪推してみたが、吉野や光悦の真面目な顔を見ると、決して
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)