急度きっと)” の例文
たとえ木綿たりとも花美高価のものを取扱い致すまじく、相背く者これ有るにおいては不便ふびんながら政事には替え難く、急度きっと申渡す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
精米所の主人は、月に一度くらいは急度きっと蠣殻町かきがらちょうの方へ出て来るのであったが、その時は上さんと子供をつれて来ていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
近藤の弟子の小林めが肩衣かたぎぬなんど着おって、おれのところへ来て、いろいろあつかいを入れて、兼吉にわびをさせるから了簡しろという故、急度きっと念をしたら
一箇条宛致合点急度きっと相守可申候、若此旨相背候はば、如何様いかよう曲事くせごとにも可仰付云々。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
「今日箱根峠に打ち登り候。小田原表行き、急度きっと申付く可候、是又これまた早速相果す可く候」
小田原陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
孝「するとあとから一人四十三四の女が参りまして、これも尋ねる者に逢えるか逢えないかと尋ねると、白翁堂は同じく逢っているというものだから、其の女はなに逢いませんといえば、急度きっと逢っていると又争いになりました」
「須田町から先は、自分ながら可怕おっかなくて為様しようがなかったの。だけど訳はない。二三度乗まわせば急度きっと平気になれます」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
娘子供など髪飾り衣類などに花美異風のこしらえこれ無きよう相心得、若きものにはその親支配人どもより急度きっと申渡せ。奢侈しゃしの風俗を質素に直せと申すのだ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
右之趣御領内急度きっと相触候、此旨被仰出者也、仍如よってくだんのごとし
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
作法よろシカラザル儀レ有ル段相聞エ候、以後右ノ様子ノやから、之レ有ルニ於テハ、急度きっと、御吟味ヲ遂ゲラルベキ旨、仰セ出サレ候、向後、相慎シミ、作法宜シキ様ニつかまつルベキ旨
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
嘉「いえ急度きっとめえるに相違ごぜえません」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あっしゃ子供の時分から、こんな事が好きだったんですから、この外にまだ幾箇いくつも考えてるんですが、その中には一つ二つ成功するのが急度きっとありますよ」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
高価のものの売買も当丑年うしどし限り停止ちょうじ触出し置きたれば、残りたる物は年内最早三日に相成り、形を替えるか、崩すとも仕舞切しまいきりにいたすとも、きた寅年とらどし元朝がんちょうよりは急度きっと停止申渡す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
『荷物は預けるから、急度きっと、受取をよこせ』