はか)” の例文
われは手に瓔珞くびたまを捧げて、心にこれをマリアに與へんことを願ひぬ。マリアの顏の紅をせしは、我心をはかり得たるにやあらん、覺束おぼつかなし。
盛りと見ゆる世もいづれ衰ふる時はあり、末は濁りてもれぬ源には、流れも何時いつまんずるぞ。言葉のむねはかり得しか
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
我々は自分に考えて居る事しか世間の人の心中をはかる事は出来んが、実に面白いものだという感覚が起りました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
潔白のわが心中をはかる事出来ぬじいめがいらざる粋立すいだて馬鹿ばか々々し、一生に一つ珠運しゅうんが作意の新仏体を刻まんとする程の願望のぞみある身の、何として今から妻などもつべき
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
芳年が紫玉の意をはかって、これを花山に告げた。花山はすくいを茶弘に求めた。茶弘は新橋界隈かいわいに幅を利かせていた侠客きょうかくで、花山が親分として戴いていたのである。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
他人の真意をはかるもので、もとより論ずるにも足らぬことであり、また「喜田が部落民のヒイキをしすぎる」ということの如きも、確かに観察を誤まったもので
融和促進 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
「サン、カルロ」座なる數千の客は我に何の由縁ゆかりもなきに、口をひとしうして喝采したり、われは惠深き君の我喜を分ち給はんことをはかりしにと答へたり。
「お前の国の王様は人を欺くか。王様に嘘はない。おのれの心をもって王様の心をはかるような事をするな。明日あしたはきっとくれるに違いない」としかり付けました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
厨子王は姉の心をはかりかねて、寂しいような、悲しいような思いに胸が一ぱいになっている。
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)