心安こころやす)” の例文
いつ呼んでも来て呉れる心安こころやすい、明けっぱなしで居られる友達の有難味ありがたみを、はなれるとしみじみとかんじる。
秋風 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
天風は出口にいた二三人の女給から心安こころやすだてなあいさつを受けながら外へ出た。夜店の終った広い歩道には、もう往来する者もなくなって寒さのみが歩いていた。
文妖伝 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それがいささかなりとも、現世げんせ方々かたがた研究けんきゅう資料たしともなればとねんじてります。何卒どうぞあまり過分かぶん期待のぞみをかけず、お心安こころやすくおききりくださいますように……。
たんと朝寐あさねを遊ばしてもかねは聞えず、とりも鳴きません、犬だっておりませんからお心安こころやすうござんしょう。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それはかく、彼は次の様に、所謂苦心談を語り出したのである。私は、それを、心安こころやすだてに、蒲団の中から、得意そうに動く彼のあごの辺を見上げて、聞いていた。
二銭銅貨 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼処あすこさ東京の人だからね。このあいだ一件いっけんもので大騒ぎをしたでがす。行って見てしんぜますべい。うに、はい、何処どっかずらかったも知んねえけれど、台所の衆とは心安こころやすうするでがすから
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)