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御部屋
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おへや
本邦に例の多かった大工の棟梁の娘が大名の
御部屋となり、魚売りの娘がその棟梁の
囲い
者となりていずれも出世と心得たに異ならぬ。
窺ひ友次郎殿事お花樣の
御部屋へ忍び來られたり此事
確に見屆け候故御
注進申上候と云ければ喜内は
騷ぎたる
體もなく吾助其方
供を
「
何ですね、
御米さん、
此御部屋は
夏は
涼しさうで
結構だが、
是からはちと
寒う
御座んすね」と
云つた。
叔母は
癖のある
髮を、
奇麗に
髷に
結つて、
古風な
丸打の
羽織の
紐を、
胸の
所で
結んでゐた。