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御深切
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ごしんせつ
煎じて
在しが夫と見るより
言葉を
改め是は/\
御深切に
毎々御尋ね今日は何よりも心
能樣子にてすや/\
眠り居候と云を
「有難う、——清作さん、この
御深切は、死んでも、死んでも忘れません」
拂ひしも
最早夫さへ殘りなく
誠に
當惑の
折柄なるに
御深切の御言葉に
甘え何とも
鐵面皮しき御願ひなれども今少し
夫の病氣の
快る迄御慈悲に
滯留を
尋て
能々相談なし給へと
勸めるに付彦三郎は
御深切の
御詞忝けなしと
打悦び
内外の
事共諜合せ橋本町へぞ急ぎける