“從兄(いとこ)” の例文
新字:従兄
周助さんも、手代の文治も、從兄(いとこ)の仲吉さんも、みんななりたい口で——へツ/\、でも持參金がなきやあ、主人は承知しません。
ヂュリ ほんにロミオの顏(かほ)を……死顏(しにがほ)を……見(み)るまでは、妾(わたし)ゃ如何(どう)しても心(こゝろ)が勇(いさ)まぬ、從兄(いとこ)がお死(し)にゃったのが、それ程(ほど)に心(こゝろ)に沁(し)みて悲(かな)しい。
だがしかし、何物かゞ私の内にそんな感情よりももつと強く働いてゐた。私は深く從兄(いとこ)の才能と主義とを尊敬してゐた。
家では父がまた千代松の家へ行つたさうで、お駒は昨夜泊つたまゝ歸らぬといふ從兄(いとこ)の定吉と話してゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
少年の一人は富之助で、それより一つ年上の方は其從兄(いとこ)であつた。
少年の死 (旧字旧仮名) / 木下杢太郎(著)
もどかしいなア、チッバルトを殺(ころ)しをった彼奴(あいつ)の肉體(からだ)をば掻毟(かきむし)って、懷(なつか)しい/\從兄(いとこ)への此(この)眞情(まごゝろ)を見(み)することも出來(でき)ぬか!
まだ二十五六の、遊び癖(ぐせ)の拔け切らないのを、叔父の佐兵衞に引取られて、年上の從兄(いとこ)吉三郎と一緒に、商賣を仕込まれてゐるといつた、一寸好い男です。
從兄(いとこ)は私に絶對の自由(カルト・ブランシュ)を與へ、そして別にとつてあつたその爲めのお金を呉れたので、私は新しい家具をいくらか求める爲めにその數日前S町に行つて來た。
「相吉さんは私の從兄(いとこ)で、辨次郎は用心棒ですよ。——二人共、今駈け付けて面喰つてるぢやありませんか」
ヂュリ あい、さうぢゃ、わたしの此(この)手(て)が能(よ)う達(とゞ)かぬ遠(とほ)い處(ところ)に。わたしの手(て)一(ひと)つで從兄(いとこ)どのゝ敵(かたき)が討(う)ちたい。
「從兄(いとこ)よ、もう暫く經(た)つたら、恐らく私もその路を通つてあなた方の後を追ふでせう。」と私は思つた。
あぶれのうちでも、可哀想なのは、市五郎さんの伜、お町さんには從兄(いとこ)にあたる仲吉さんで。——これは火事と喧嘩が飯より好きといふ肌合の男で御座います。
「手代分で店の方をやつてゐる從兄(いとこ)の梅吉といふ男が圍ひの中で殺されて、伜の幾太郎は影も形もない」
「お舟のところに居候(ゐさふらふ)してゐる和助——從兄(いとこ)とか何とかいふ、不景氣な野郎を親分は知りませんか」
それを人垣で隱すやうに、お光の從兄(いとこ)の喜太郎を始め近所の衆、湯島五丁目の町役人、下つ引などが、檢屍の役人や平次の來るのを待つて、生唾(なまつば)ばかり呑んで居ります。
「兜屋(かぶとや)の手代の岩三郎に、隣の息子の三七、——富坂の方角では、お鈴の從兄(いとこ)の大工の勇太郎」
狙ふ者さへあるから、氣味が惡くて叶はない。宮角力の大關まで取つたといふ、從兄(いとこ)の順八を
下女のお咲や從兄(いとこ)の順八に言はせると、そんな陽氣で贅澤な小夜菊も、たつた一人になると『私はつく/″\死に度いと思ふ』などと、柄にも無いことを言つたといふのです。
「私の遠い從兄(いとこ)ですよ、——ちよいと、和助さん、錢形の親分さんに御挨拶をしておくれ」
從兄(いとこ)の喜太郎始め、町内の衆が血眼になつて搜して居ましたが、今朝になつて聖堂前のお茶の水の崖(がけ)の中途に、お絹と同じやうに、喉首を噛み破られた死骸になつて引つ掛つて居ましたよ
お才は、從兄(いとこ)の眞太郎が、町内の櫻湯から歸つて來るのを、窓わくに背を當てて、廊下の方を向いたまゝ、自信に充ちて、——そのくせわく/\した心持で、わき眼も振らずに待つて居たのです。
「へエ、——甥と申しても從兄(いとこ)の子で」
「もう引揚げますよ、小夜菊の用心棒で、從兄(いとこ)の順八が、思ひの外用事が早く片付いて、明日か明後日は歸ることになりました。この男が歸りさへすれば千人力で、氣の拔けたやうな色男は、束になつて來ても、指一本差せることぢやありません」