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引歪
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ひきゆが
ふりがな文庫
“
引歪
(
ひきゆが
)” の例文
広間の
燈影
(
ひかげ
)
は入口に立てる
三人
(
みたり
)
の姿を
鮮
(
あざや
)
かに照せり。色白の
小
(
ちひさ
)
き内儀の口は
疳
(
かん
)
の為に
引歪
(
ひきゆが
)
みて、その夫の
額際
(
ひたひぎは
)
より
赭禿
(
あかは
)
げたる
頭顱
(
つむり
)
は
滑
(
なめら
)
かに光れり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
お利榮に取つては、此若くて美しくて、惱ましくさへあるお安の存在は、相當不愉快なものらしく、斯う話し乍らも、
醜
(
みにく
)
い顏が異樣に
引歪
(
ひきゆが
)
みます。
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
皆血相の変った
引歪
(
ひきゆが
)
んだ顔ばかりで、醜態、狼狽、叫喚、大叫喚の
活地獄
(
いきじごく
)
だ。その上から非常汽笛が真白く、モノスゴク、
途切
(
とぎ
)
れ途切れに鳴り響くのだ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
其を聞く度に、高柳は不快らしい顔付。ふゝむと鼻の先で笑つて、嘲つたやうに口唇を
引歪
(
ひきゆが
)
めた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
辰五郎の驚きは、次第に深刻に恐怖と変って、やがて三十過ぎの立派な顔が、恐ろしい苦悩に
引歪
(
ひきゆが
)
められるのでした。
銭形平次捕物控:013 美女を洗い出す
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
やっと下の方の片隅だけ
引歪
(
ひきゆが
)
める事が出来たが、それ以上は人間の力で引抜けそうになかった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は堪へざらんやうに
苦
(
にが
)
りたる口元を
引歪
(
ひきゆが
)
めて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
辰五郎の驚きは、次第に深刻に恐怖と變つて、やがて三十過ぎの立派な顏が、恐ろしい苦惱に
引歪
(
ひきゆが
)
められるのでした。
銭形平次捕物控:013 美女を洗ひ出す
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
名誉や金銭に縛られて心にもない妥協をしたり
苟合
(
こうごう
)
したり、腐敗したり、堕落したりして、純真な恋を踏み
蹂
(
にじ
)
ったり、
引歪
(
ひきゆが
)
めたり、売物買物にしたりする紳士淑女たちの
所謂
(
いわゆる
)
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
赤い灯に照された方は、輕い苦惱に
引歪
(
ひきゆが
)
んで、少し熱を帶びたやうに見えると、青い月に照された方は、眞珠色に光つて、
深沈
(
しんちん
)
としてすべての情熱が
淀
(
よど
)
んで見えます。
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
もちろん一人残らず顔を
引歪
(
ひきゆが
)
めていた。その顔があとからあとから引続いて来て、ギクギクと声を立てながら父の顔に手を合わせて行く姿を見送っているうちに、次第次第に私の手がわなないて来た。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
左右から取
縋
(
すが
)
るのは、十六、七の可愛らしい娘——妹のお
鳥
(
とり
)
といふ、揉みくちやにされたやうな悲歎の姿と、許婚の新六郎といふ、
嗚咽
(
をえつ
)
に端正な顏を
引歪
(
ひきゆが
)
めた、二十二、三の男でした。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その背部に施してある刺青の中で、普通よりも
引歪
(
ひきゆが
)
められている部分を、直線で連絡してみると一つの旧式要塞の図になっていて、星は望楼、花は砲台、雲は森林として配置されている事が判明した。
S岬西洋婦人絞殺事件
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
お六は
醜
(
みにく
)
い顏を
引歪
(
ひきゆが
)
めて、聲を殺して泣くのです。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お六は
醜
(
みにく
)
い顔を
引歪
(
ひきゆが
)
めて、声を殺して泣くのです。
銭形平次捕物控:320 お六の役目
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
綺麗な顏を
引歪
(
ひきゆが
)
めて爭ふ捨吉。
銭形平次捕物控:045 御落胤殺し
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
引
常用漢字
小2
部首:⼸
4画
歪
漢検準1級
部首:⽌
9画
“引”で始まる語句
引
引込
引摺
引返
引張
引掛
引籠
引立
引緊
引出