幸福さいわい)” の例文
二人の運命を想いやる時には、いつでも羞かしい我の影がつきまとうて、他人ひと幸福さいわいのろうようなあさましい根性もきざすのであった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
たとえば、かねがいくらたまったら、みせをりっぱにしようかとか、また、はやく幾何いくらかになれば幸福さいわいだとむねうちえがいていたのかもしれない。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
幸福さいわいなるかな、心の貧しき者」、「幸福なるかな、悲しむ者」「幸福なるかな、柔和なる者」等々
妾の幸福さいわいは、何処どこの獄にありても必ず両三人の同情者を得ていんよう庇護ひごせられしことなり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
にかく市郎の身につつがなかったのは何よりの幸福さいわいであったと、お葉は安堵の胸を撫下なでおろすと同時に、我が眼前めのまえに雪を浴びて、狗児いぬころのようにうずくまっている重太郎を哀れに思った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
それは何より味方の幸福さいわい。今は道中故ご免をこうむり、いずれ式体は城中にて、その時ご身分をもお聞き申そう。名に負う法術の達人を二人までお連れ致したるは、右門、そちの手柄であるぞ。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
本当に「幸福さいわいなるかな、心の貧しき者。天国はその人のものなり」であります(マタイ五の三)。
わしに来たる者は幸福さいわいである
銀三十枚 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)