干支かんし)” の例文
年数と干支かんしが全部合理的につじつまを合わせて、念入りに誤植されるという偶然の確率はまず事実上零に近いからである。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あるいうまに、或は牛に、此般こんはんの者も多かるべし。しかれども予がかつ聞知ききしれるかれ干支かんししかく巳を重ねたるを奇異とせる記憶は、咄嗟とっさに浅次郎の名を呼起よびおこせり。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
単に干支かんしが一致するという以上に、記録の上からも推定し得られ、また土地の人々が誰も彼も、十かん十二年繰としぐりを誤るということは有り得ないからである。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
第二種は、他人ありてわが心身の事情変化を考定審判するものにして、神を降ろす術、狐をつける法、人相、家相、九星、方位、干支かんし、卜筮等、みなこれに属す。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
それまでの旗幟はたのぼりは黒田家として定まったものもなく、仏号、星の名、干支かんしなどを、その時々に書いたものを用いていたが、そういう祈祷的なものであってはならぬと
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
年齢干支かんし九星早見弁はやみのべん。こうだ。
指を折って干支かんしを算える技術を学ばぬ以前から、すでに我々は穀母こくぼの身ごもる日を予知し、またそれを上もなく神聖なる季節なりと、感ずることを得たのであった。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
これに反して干支かんし法は言わば複式の数え方で、十進法と十二進法との特殊な結合である。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
モダーンな日記帳にはその年の干支かんしなど省略してあるのもあるくらいである。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)