左義長さぎちょう)” の例文
そういう中でもわれわれ外部の者の眼に、やや憎らしくも思われるのは正月小屋の生活、ちょうど左義長さぎちょうをやく前後の少年の跋扈ばっこであった。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
お茶を頂きながら前の日にあった左義長さぎちょうにぎわいのさまなどお話しして、少し気持がおちついてから昨夜のことを申上げた。
日本婦道記:桃の井戸 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「ああ左義長さぎちょうのことですネ。それも結構です。それからこの辺の村の名とか町の名とか憶えていらっしゃいません」
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
これは往古むかし、漢土から爆竹の風が伝わって、左義長さぎちょうと言って代々行われた土俗が遺っているのである。
大きな天理教会、小さな耶蘇教会で、東京から人を呼んで説教会がある。府郡の技師が来て、農事講習会がある。節分は豆撒まめまき。七日が七草ななくさ。十一日が倉開き。十四日が左義長さぎちょう
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「今日はどんどだね」(一に左義長さぎちょう、門松や書初めや、いろいろ正月の物を焼く儀式)
あの江戸城の外のおほりばたの柳ののかげに隠れていたのは正月十五日とあるから、山家のことで言えば左義長さぎちょうの済むころであるが、それらの壮士が老中安藤対馬の登城を待ち受けて
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もう一人前に近くなっていても、これにしたがう面々は村の少女の全部で、それが組織ある行動にづることは、左義長さぎちょうの子ども組も同じであった。
こども風土記 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
左義長さぎちょう・とんど、またはさえの神・鬼火おにび等の名を以て、大きな火をく日はいつになっているか。燃料の集め方、ことにこの火で焼くものの種類など。その火のそばに小屋を作る風があるならその作法。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)