尼崎あまがさき)” の例文
二度目に巡見した時は、城内の士卒の外に、尼崎あまがさき岸和田きしわだ高槻たかつきよどなどから繰り出した兵が到着してゐる。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
お春の云うところにると、彼女は先月の下旬に、尼崎あまがさきの父がの手術で西宮の某肛門こうもん病院に入院した時、二週間ばかり暇を貰って父に附き添っていたのであったが
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その証拠には、電車が尼崎あまがさきに着いて、直ぐ前に空席が出来ても、氏は素知らぬ顔をしてぽうを向いてゐたが、車掌に尻を小突かれて、やつと不承不承に其処そこに腰を下した。
先祖は細川高国の手に属して、強弓ごうきゅうの名を得た島村弾正貴則だんじょうたかのりである。享禄きょうろく四年に高国が摂津国せっつのくに尼崎あまがさきに敗れたとき、弾正は敵二人を両腋りょうわきはさんで海に飛び込んで死んだ。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼女は尼崎あまがさきの家から時々御機嫌ごきげん伺いに来ては、誰が何と申しましょうとも、あのような手数のかかる厄介やっかいを、女中に置いて使うて下さる此方こちら様の御恩は忘れません
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
今度尼崎あまがさき市の郊外に工場が出来る東亜飛行機製作所に、国嶋氏の斡旋あっせんで就職することに極まったこと、それは自分がかつ亜米利加アメリカの大学で航空学を修めたことがあるので
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
さしあたりお春を看病にるより外はないとして、貞之助と悦子には、お春は尼崎あまがさきの実家の方に急用が出来、二三日暇を貰って帰ったと云うことにして置こうではないか、と、幸子は云って
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)