小商こあきない)” の例文
お前が此処で小商こあきないでも仕ようと云うならおらうちて居に貰いてえ、江戸子てエ者は、田舎へ来て江戸子にうと、親類にでも逢った心持がして懐かしいから、江戸と云うと、肩書ばかりで
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
遠山とおやまの形が夕靄ゆうもやとともに近づいて、ふもとの影に暗く住む伏家ふせやの数々、小商こあきないする店には、わびしいともれたが、小路こうじにかゝると、樹立こだちに深く、壁にひそんで、一とうの影もれずにさみしい。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
昼寐ひるねせる妻もしからず小商こあきない
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
江戸の大火で再び焼失致しましたから遂に身代限りを致し、うも致方いたしかたがないからわずかの金を借りて京橋の鍛冶町かじちょうへ二間間口の家を借り、娘に小間物を商なわせ、小商こあきないを致して居りますうち
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたくしは江戸の者で、小商こあきないを致します新吉と申す不調法者、此地こちらへ参りましたが、雷鳴かみなりが嫌いで此方様こちらさまへ駈込んだ処が、お留守様でございますからとめる訳にはいかぬと仰しゃって、お話をして居る処で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)