室中へやじゅう)” の例文
室中へやじゅうのひとたちは半分うしろの方へ倒れるようになりながら腰掛こしかけにしっかりしがみついていました。ジョバンニは思わずカムパネルラとわらいました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
床の上には果物の皮や、煙草の吸殻なぞが一面に散らばっていて、妙な、えたような臭いを室中へやじゅうに漂わしている。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
室中へやじゅう追廻おいまわる事は出来ません(荻)それそうだな(大)爾ですから是は左ほどの老人では有りません随分四十に足らぬ中に白髪ばかりに成る人は有ますよ是も其類です
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「この花を、室中へやじゅうへ敷いて、お雪さん休みます。」
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
室中へやじゅうの視線が私に集注した。
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
室中へやじゅうのひとたちは半分はんぶんうしろの方へたおれるようになりながら腰掛こしかけにしっかりしがみついていました。ジョバンニは思わずカムパネルラとわらいました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
って云ううちに、……ギャーッて云う声が室中へやじゅうにビリビリする位響いて来たの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しめて、室中へやじゅう暗くしなくては、あぶらがうまくかからんじゃないか。それにもうそろそろと肥育をやってもよかろうな、毎日阿麻仁あまにを少しずつやって置いてれないか。
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
葉巻の煙にせて、ネクタイを引きゆるめて、チョッキのぼたんを外して、鼻眼鏡をかけ直して、その一声ごとに、室中へやじゅうの空気が消えたり現われたりするかと思う程徹底的に仰ぎつ伏しつ笑い続けた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その声が室中へやじゅうに響き渡ると間もなく鍵穴をガチャガチャいわせて、扉を半分ばかり開きながら這入って来た者を見ると、それは九州帝国大学の紺のお仕着せを着たテカテカ頭の小使いであった。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)