定家ていか)” の例文
一體假名遣と云ふことば定家ていか假名遣などと云ふときから始まつたのでありませうか。そこで此物を指して自分は單に假名遣と云ひたい。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
美妙斎の筆蹟は定家ていかようの極めて美くしい書風であったが、何となく芸人披露の名弘なびろめの散らしの板下然はんしたぜんとして気品に欠けていた。
美妙斎美妙 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
定家ていか糟粕そうはくをしゃぶるでもなく自己の本領屹然きつぜんとして山岳と高きを争い日月と光を競うところ実におそるべく尊むべく覚えずひざを屈するの思い有之これあり候。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
前栽せんざいつくろはせ給へる頃人々あまた召して御遊ぎょゆうなどありける後定家ていか中納言ちゅうなごんいまだ下﨟げろうなりける時に奉られける
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
この他、『唐詩選』の李于鱗りうりんにおける、百人一首の定家ていか卿における、その詩歌しいかの名声を得て今にいたるまで人口に膾炙かいしゃするは、とくに選者の学識いかんによるを見るべし。
読倫理教科書 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
たとえば定家ていか西行さいぎょうの短歌の多数のものによって刺激される連想はあまりに顕在的であり、訴え方があらわであり過ぎるような気がするのをいかんともすることができない。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
さてもさてもごりょは、誰人だれびとの子なれば、定家ていかかつらを——
大橋須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
定家ていかといふ人は上手か下手か訳の分らぬ人にて、新古今の撰定を見れば少しは訳の分つてゐるのかと思へば
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
あなが人丸ひとまろ赤人あかひと余唾よだねぶるでもなく、もとより貫之つらゆき定家ていか糟粕そうはくをしやぶるでもなく、自己の本領屹然きつぜんとして山岳さんがくと高きを争ひ日月と光を競ふ処、実におそるべく尊むべく
歌よみに与ふる書 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
定家ていかという人は上手か下手か訳の分らぬ人にて
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)