姉様あねさん)” の例文
旧字:姉樣
姉様あねさんおらの号外だよ。今朝、号外に腹が痛んだで、稲葉丸さ号外になまけただが、直きまた号外に治っただよ。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前さんの姉様あねさん豊志賀さんが来てね、たった一人の妹でございますから大事に思うが、こんな稼業しょうばいをして居り、うちも離れているから看病も届きませんでしたが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あの高田にけがされぬ先に、いっそこのまま死にたいなあ、お姉様あねさんはどう遊ばしたかしら、定めし私と同じ様に。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あり/\と枕元へ来て申しました、実に夢とは思われません、してみると兄様あにさん姉様あねさんも迷っていると思いますから、敵を討って罪作りを致しますようでございますけれども
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
織次はと幻に見た、夜店の頃の銀河の上のおんなを思って、先刻さっきとぼとぼと地獄へ追遣おいやられた大勢の姉様あねさんは、まさに救われてその通り天にのぼる、と心が勇む。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
姉様あねさんが死にます時にも、お父様とっさまに逢わずに死ぬのは残念だ、一目逢いたい/\と申しました
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それからまるい顔にして、しかくい胴にしてさんかくに坐っている、今戸焼いまどやき姉様あねさんだと思えばそれでもうございます、はかま穿いた殿様だと思えばそれでもいでしょう。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
手拭を姉様あねさんかぶりにした美婦人が車を飛び下り、あわてゝ上州屋へはいり
とそれならぬ、姉様あねさんが、山賊の手に松葉燻まつばいぶしの、乱るる、ゆらめく、黒髪くろかみまでが目前めさきにちらつく。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
織次は、飛脚に買去かいさられたと言う大勢の姉様あねさんが、ぶらぶらと甘干あまぼしの柿のように、樹の枝に吊下つりさげられて、げつろしつ、二股坂ふたまたざかさいなまれるのを、目のあたりに見るように思った。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「やあ、寝てやがら、姉様あねさんおらが嫁さんはねんねかな。」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何をよ、そんな事ッて。なあ、姉様あねさん、」
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)