天童てんどう)” の例文
仙台を出発した鎮撫軍ちんぶぐんが、山形から天童てんどうまで進んだとき、沢副総督は第三番隊の中村半九郎という若い隊長を呼んで命令を与えた。
梟谷物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そこでは彼女が、秩父ちちぶ天童てんどうの盆地を脱出してから、行く先々の宿場や街道の辻で、口の悪い馬方だの百姓の子らに、容貌のちがうところを気がつかれるたびに
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(なるほど立派りっぱなもんだ。あまりよく出来てなんだかこわいようだ。この天童てんどうはどこかお前にているよ。)
雁の童子 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
山形市の近くに天童てんどうと呼ぶ小さな静な温泉町があります。ここは将棋しょうぎの駒を作るのに忙しい所であります。吾々がもてあそぶ駒の大部分はこの小さな町から出るといわれます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「鉄幹君に酬ゆ」の篇には「めとらずかず天童てんどうきよきぞはふと思ふもの」
『行く春』を読む (新字旧仮名) / 蒲原有明(著)
爺のまへへ来ると雲からとびおりて、身がるくそこらをけまはる様子が世間の子どもとは全く変つてゐますので、よく見ますと、男の子の背にはうつくしい羽が生えてゐました。それは天童てんどうでした。
天童 (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
恋知らぬ天童てんどうごと
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
鹿沼かぬまほうき丸亀まるがめ団扇うちわ天童てんどう将棊駒しょうぎごま久留米くるめかすり結城ゆうきつむぎ土州どしゅうの金物、それぞれに面白い発達である。そういう場所からはとりわけ生産の組織について多くを学ぶことが出来る。
地方の民芸 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)