大明だいみん)” の例文
筑前がさい前、得意になって話された大明だいみんの知識は、於福が幼少のとき、父の茶わん屋捨次郎から聞いたはなしの又聞またぎきではないかの。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「朝鮮へ国替くにかへ仰せ付けられたく、一類眷属けんぞくこと/″\く引率して彼地へ渡り、直ちに大明だいみんに取って掛り、事果てぬ限りは帰国つかまつるまじき旨の目安めやす
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
京城けいじょうはすでに陥った。平壌へいじょうも今は王土ではない。宣祖王せんそおうはやっと義州ぎしゅうへ走り、大明だいみんの援軍を待ちわびている。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
紫ちりめんの大明だいみん頭巾でもなし、縞物の与作頭巾でもない。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と、秀吉は、ささやくように、声を落し、床几しょうぎから身をのり出して、例の、信長から拝領した大明だいみん南蛮絵図の軍扇を、備前の方へ指して云った。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それほどの誇りをった大商業地、富の地、殷賑の地、海の向うの朝鮮、大明だいみん琉球りゅうきゅうから南海の果まで手を伸ばしている大腹中のしたたか者の蟠踞ばんきょして、一種特別の出し風を吹出し
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
八幡船ばはんせんなるものに乗りこんで、海濤万里かいとうばんりをものともせず、南の島々から大明だいみんの沿海はいうに及ばず、揚子江は鱖魚けつぎょのごとく千里をさかのぼり、高麗の辺境までも鯨遊げいゆうして、半生
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
秀吉なども、もし、十六、七歳の頃に、その方どもと巡り会うていたら、かならず汝らの手下に属して、南海西蛮せいばん大明だいみん高麗こうらい、ひとわたりはぜひ見物しておいたろうに、残念に思う。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)