大僧正だいそうじょう)” の例文
それがピカピカ光る、まっかながいとうのようなものをきて、大僧正だいそうじょうでもかけるような、りっぱないすにこしかけているのです。
灰色の巨人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
庭の泉石から室を吹きとおしてくる風に、彼のからだは緋牡丹ひぼたんの花が炎のように揺れた。彼は、具足のうえに、大僧正だいそうじょう緋衣ひいを着ていた。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それはれいの大僧正だいそうじょうでした。この坊さんは、ほかのひとたちのねむっているときに、ひとり目をさましているのです。
食事がすむと、時をうつさず、大僧正だいそうじょうは、ふたりをお城の礼拝堂れいはいどう案内あんないして、ご婚礼こんれいをすませました。女官がしらは、ふたりのためにとばりをひきました。
眠る森のお姫さま (新字新仮名) / シャルル・ペロー(著)
兼実も歌人だが、その子の良経よしつねは後京極摂政で、『秋篠月清集あきしのげっせいしゅう』の主、一代の歌人であった。また兼実の弟大僧正だいそうじょう慈円も一代の歌人で『拾玉集しゅうぎょくしゅう』の作者である。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
公卿くげ大僧正だいそうじょうをはじめ約五百人からの大集団で、例の金の御幣ごへいを中心に文字通りの大嵐のような勢いで、四月六日には落合泊まりで馬籠の宿場へ繰り込んで来た。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
梟の、きっと大僧正だいそうじょうか僧正でしょう、ぼうさんの講義が又はじまりました。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
敬礼きょうらい慈慧じえ大僧正だいそうじょう
公卿くげ大僧正だいそうじょうをはじめ、約五百人から成るそれらの一行がきんの御幣を奉じてねり込んで来て、最近にこの馬籠の宿でも二十両からの祝儀金しゅうぎきんをねだって通り過ぎたのは
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのとき大僧正だいそうじょうは、王さまに不吉ふきつなことばをささやきました。けれどもそれは王さまの心の中へまでははいりませんでした。結婚の式はぶじにあげられることになりました。
大僧正だいそうじょう慈円などは『愚管抄ぐかんしょう』の中で、歴史を推進させる道理の存在をきつく主張したけれども、その道理が具体的事件の上に如何にはたらくものであるかを法則化して見せる社会史学のようなものは
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
エリーザをおきさきに立てようとしました、そのなかでひとり、この国の坊さまたちのかしらの大僧正だいそうじょうが首をふって、このきれいな森のむすめはきっと魔女で、王さまの目をくらまし
坊さんたちが香炉こうろをゆすっているなかで、花よめ花むこは手をとりかわして、大僧正だいそうじょうの祝福をうけました。人魚のひいさまは、絹に金糸の晴れの衣裳いしょうで、花よめのながいすそをささげてもちました。