大仕掛おおじかけ)” の例文
……屋台を崩して、衣装葛籠つづららしいのと一所に、荷車に積んで、三人で、それはなわての本道を行きます。太神楽も、なかなか大仕掛おおじかけなものですな。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
構造は、さっきのトンネルと同じことで、まん中のところは『おすべり』ができるようになっており、両側には階段がついている。なかなか大仕掛おおじかけ
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それでこの研究は、もっと大仕掛おおじかけな無線通信の障害防除に関する全米的な研究の一部としてなされている。
アラスカ通信 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
それほど大仕掛おおじかけの手数を厭う位なら、ついでに文芸院を建てる手数をも厭った方が経済であると考える。
文芸委員は何をするか (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
俳優やくしゃが国王よりも権力があって、芝居が初まると国民が一人残らず見物しなけやならん憲法があるのだから、それはそれは非常な大入おおいりだよ、そんな大仕掛おおじかけな芝居だから
火星の芝居 (新字新仮名) / 石川啄木(著)
けれども探偵物となるとさすがに大仕掛おおじかけで特色を持っている。しかしこれらの探偵物は、ただほんのその場限りの興味のもので、後で筋を考えては誠につまらないものである。
活動写真 (新字新仮名) / 淡島寒月(著)
然しいつまで川水を汲んでばかりも居られぬので、一月ばかりして大仕掛おおじかけ井浚いどさらえをすることにした。赤土あかつちからヘナ、ヘナから砂利じゃりと、一じょうも掘って、無色透明無臭而して無味の水が出た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
機械的大仕掛おおじかけの製造盛んに行われ、低廉ていれんなる価格を以て、く人々の要に応じ得べきに至るといえども、元来機械製造のものたる、千篇一律せんぺんいちりつ風致ふうちなく神韻しんいんを欠くを以て、ひとえに実用に供するにとどまり
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
その派手はで大仕掛おおじかけには、僕はすっかりせられてしまって、ため息があとからあとへと出てくるばかりだった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ところが、自然ではこの渦はもっと大仕掛おおじかけになることがある。
「茶碗の湯」のことなど (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
大昔も、炭鉱たんこうで海底に出ているのもありましたね。ああいうものがもっと大仕掛おおじかけになったのです。人も住んでいます。街もあります。海底トンネルというのが昔、ありましたね。
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
フリッツ大尉の案内により、大仕掛おおじかけな地下工場のまん中に立ち、うな廻転機かいてんきや、ひび圧搾槌あっさくづちの音を聞いていると、ドイツ人のもつ科学力にせられて、おそろしくなってくるのだ。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)