変者かわりもの)” の例文
「……」博士は無言で、しばしは口をモゾモゾせられたが、これは変者かわりものをもって鳴る博士の性状せいじょうとして「しかり」を意味するものにほかならぬ。
キド効果 (新字新仮名) / 海野十三(著)
騎兵大隊長きへいだいたいちょう夫人ふじん変者かわりものがあって、いつでも士官しかんふくけて、よるになると一人ひとりで、カフカズの山中さんちゅう案内者あんないしゃもなく騎馬きばく。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
何しろこの家の主人というのはよほど変者かわりものに相違ない。……待てよおれは、リップ・ヴァン・ヰンクルではないか知ら。……帰って見ると妻は婆になっている。
何もあの小僧が居なけあ船が出ねえって理窟りくつもあるめえし……おめえんとこの船長おやじがいくら変者かわりものだってそんな無鉄砲な酔狂をして乗組員のりくみを腐らせるような馬鹿ばかでもあんめえ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)