増長ぞうちょう)” の例文
病気なれば気の毒、早速さっそく医者の手にかかるがいいが、もし我儘だったらあんまり卑屈ひくつにへいへいしていると、かえって増長ぞうちょうさせていけない。
良人教育十四種 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
とられて、うちの仕事はそっちのけになって困る。黙ってりゃいい気になって増長ぞうちょうしやがるんだ。これからは一切本を読まさないことにしよう……
からだを養生ようじょうするうちに菊村宮内のやさしさにれ、すっかり増長ぞうちょうしている気味きみだから、とても竹童と手をにぎって、心から打ちとけるべくもない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あまり自分の力がすぐれているんで、あいつはこのごろでは、少し増長ぞうちょうして来たらしく、地球上の人類を全部殺してしまって、自分らがそのかわりにとってかわろうとしているんだ
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
よく山の者が久米一の傲慢ごうまん増長ぞうちょうを憎んで、かげ口に増長天王ぞうちょうてんのうと悪口をいっているが、かりそめにも、この大川内で窯焚かまたきの上手じょうずでは右へ出る者のない百助を、足蹴あしげにした憤怒ふんぬ慢心まんしんの今の姿は
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ただ呉々くれぐれも妻は己の職業に慢心まんしんして大切にしてもらう夫にれ、かりにも威張いばったり増長ぞうちょうせぬこと。月並のいましめのようなれど、余程よほどの心がけなくてはいわゆる女性のあさはかより、このへいおちいやすかるべし。
良人教育十四種 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「不敵なやつ。増長ぞうちょうしおる」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)