塩梅式あんばいしき)” の例文
黒天鵞絨くろびろうどの薄い小形の不断使いの座蒲団が順好くならんで、その間に煙草盆が、五歩に一楼十歩に一閣という塩梅式あんばいしきに置かれてある。
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
なかなかの読書家で、手紙も改良仮名遣いで押し通し、良人のこともドミートリイと呼ばずにヂミートリイと呼ぶといった塩梅式あんばいしきだった。
れから又母はと中津生れであるが、長く大阪に居たから大阪のふうに慣れて、小供の髪の塩梅式あんばいしき、着物の塩梅式、一切大阪風の着物よりほかにない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
きのう舞台ぶたいたおれたまま、いまいままで、楽屋がくやてえたんじゃないか。それをおまえさん、どうでもうちかえりたいと駄々だだをこねて、とうとうあんな塩梅式あんばいしきに、お医者いしゃせてかえ途中とちゅうだッてことさ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
けれども鶴だって乃公おれに喰わせなければ死人しにんも同じ事だと答えたような塩梅式あんばいしきで、何時いつひやかして面白がって居る中に、るとき長与専斎ながよせんさいれかと相談して
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
大抵たいてい当時の世の中の塩梅式あんばいしきが分るであろう、と云うのはれは必ずしも中津一藩に限らず、日本国中ことごとく漢学の世の中で、西洋流など云うことは仮初かりそめにも通用しない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)