坊様ぼうさま)” の例文
旧字:坊樣
(やあ、ご坊様ぼうさま。)といわれたから、時が時なり、心も心、後暗うしろぐらいので喫驚びっくりして見ると、閻王えんおう使つかいではない、これが親仁おやじ
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あなたはがたいお坊様ぼうさまのようですから、くわしくわたしのはなしいていただいて、その上におねがいがあるのでございます。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
美しい着物の坊様ぼうさまが見えたとか、せいの高い武士が歩いて来るとか、詩人がお祝いの詩を声ほがらかに読み上げているとか、むすめの群れがおどりながら現われたとか
燕と王子 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
アノ時阿父おとっさんは何故なぜ坊主にするとっしゃったか合点がてんが行かぬが、今御存命ごぞんめいなればお前は寺の坊様ぼうさまになってるはずじゃと、何かの話のはしには母がう申して居ましたが
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
英語はもちろんの事、以太利語イタリーご羅甸語ラテンごもある。左り側に「我が望は基督キリストにあり」と刻されたのはパスリユという坊様ぼうさまの句だ。このパスリユは千五百三十七年に首をられた。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
(嬢様そんならこのままでわし参りやする、はい、ご坊様ぼうさまにたくさんご馳走ちそうして上げなされ。)
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(おお、お坊様ぼうさま。)と立顕たちあらわれたのは小造こづくりの美しい、声もすずしい、ものやさしい。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)