国色こくしょく)” の例文
旧字:國色
奥の寝室はとばりよぎも華麗をきわめたもので、一匹の年ふる大猿が石のとうの上に横たわりながらうなっていると、そのそばには国色こくしょくともいうべき美女三人が控えています。
その女は年のころ十七八の紅裙翠袖こうくんすいしゅうの美人で、月の光にすかしてみると韶顔稚歯しょうがんちし国色こくしょくであるから、喬生は神魂瓢蕩しんこんひょうとうじぶんで己を抑えることができないので、女のあとになりさきになりしていて往くと
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
親子、国色こくしょく、東京のもの、と辰弥は胸に繰り返しつつ浴場へと行きぬ。あとより来るは布袋殿なり。上手かみてに一つ新しくしつらえたる浴室の、右と左のひらとびらを引き開けて、二人はひとしくうちに入りぬ。
書記官 (新字新仮名) / 川上眉山(著)
喬生は月のひかりでうかがうと、女はまことに国色こくしょく(国内随一の美人)ともいうべき美人であるので、神魂飄蕩しんこんひょうとう、われにもあらず浮かれ出して、そのあとを追ってゆくと、女もやがてそれをさとったらしく
世界怪談名作集:18 牡丹灯記 (新字新仮名) / 瞿佑(著)
喬生は月のひかりで窺うと、女はまことに国色こくしょくともいうべき美人であるので、我にもあらず浮かれ出して、そのあとを追ってゆくと、女もやがてそれをさとったらしく、振り返ってほほえみました。