くは)” の例文
肋骨の見えた痩せた飼犬が夕暮れのおぼろな影に石膏のやうな色を見せて、小枝をくはへながら驅け廻つて遊んでゐた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
積上つみあげられたる雜具がらくたうへに、いつでも烟管きせるくはへて寐辷ねそべつてゐるのは、としつた兵隊上へいたいあがりの、いろめた徽章きしやういてる軍服ぐんぷく始終ふだんてゐるニキタと小使こづかひ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
義男はさつきのみのるの冷笑がその胸の眞中まんなかを鋭い齒と齒の間にしつかりとくはへ込んでる樣に離れなかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)