古邸ふるやしき)” の例文
いけかこんだ三方さんぱう羽目はめいたはづれてかべがあらはれてた。室數へやかず總體そうたい十七もあつて、には取𢌞とりまはした大家たいけだけれども、何百年なんびやくねん古邸ふるやしきすこしはひらないから、ねずみだらけ、ほこりだらけ、くさだらけ。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
清盛の父の刑部卿忠盛ぎょうぶきょうただもりが住んでいた土塀まわり小一町しかの古邸ふるやしきが、六条の河原へ向って、寒々とあったに過ぎなかったのが——今はどうして平氏の眷族けんぞくたちも皆、近くに土木建築を興したので
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
広い広い古邸ふるやしき、そこで気前のよい暮らし
その負さりたもうた腹部の中窪なかくぼみな、御丈みたけ丈余じょうよの地蔵尊を、古邸ふるやしきの門内に安置して、花筒に花、手水鉢に柄杓ひしゃくを備えたのを、お町が手つぎに案内すると、外套氏が懐しそうに拝んだのを
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
近衛河原の古邸ふるやしきにただ一軒、置き残されたままだった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)