口供こうきょう)” の例文
所詮しょせん町奉行の白州しらすで、表向きの口供こうきょうを聞いたり、役所の机の上で、口書くちがきを読んだりする役人の夢にもうかがうことのできぬ境遇である。
高瀬舟 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
その苛責かしゃくが終わったのちに、道人は三人に筆と紙とをあたえて服罪の口供こうきょうを書かせ、更に大きい筆をってみずからその判決を書いた。
世界怪談名作集:18 牡丹灯記 (新字新仮名) / 瞿佑(著)
その呵責かしゃくが終った後に、道人は三人に筆と紙とをあたえて、服罪の口供こうきょうを書かせ、さらに大きな筆をとってみずからその判決文を書きました。
その男の面会に来ぬようにして貰った。それから色色な秘密らしい口供こうきょうをしたり、又わざと矛盾する口供をしたりして、予審を二三週間長引かせた。
女の決闘 (新字新仮名) / 太宰治(著)
道人はず喬生からその罪を白状さして、それをいちいち書き留めさした。その邪鬼の口供こうきょうの概略をあげてみると
牡丹灯籠 牡丹灯記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
それから色々な秘密らしい口供こうきょうをしたりまたわざと矛盾する口供をしたりして、予審を二三週間長引かせた。その口供が故意にしたのであったという事は、後になって分かった。
町奉行石川土佐守殿は文治の口供こうきょうばかりではございませぬ、幾枚も一度に持参いたしますると、正面に松平右京殿そのほか公用人御着席、それより余程さがって町奉行が組下くみした与力を従え
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
祐道らの口供こうきょうを綜合して判断を下だすと、この事件の真相はまずはう認めるのほかは無かった。
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
単に冬子の口供こうきょう基礎どだいとして、其余そのよ好加減いいかげんの想像を附加つけくわえるだけの事である。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)