区々くく)” の例文
旧字:區々
しかるにその別ちも付かずにただ子供のように女のように、区々くくたる人情にからまれて居るというのは分らん話だ
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
俊寛 しかしそれは区々くくたる小役人こやくにんのすることだ。大いなる役人は文書の意のあるところをくみとるべきだ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
頭髪の色と黒子ほくろの所在は毎日変って、年齢ねんれい区々くく。趣味として買物、慈善事業、詩人画家の招待。オペラ。
字で書いた漫画 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
防ぐ側、押しかける側、半夜は攻防区々くくみ合いだった。劉高の寄手のうちには、武芸師範の猛者もさが二人もいて、これが指揮をとり、勢いさかんだったからである。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ええ、こうなる上は区々くくたる浮世の事に乱されずに、何日いつもお前の糸のを聞いてお前の側にいるも好かろう。己を死に導いてくれるなら己は甘んじていてこう。
信念の巌は死もこれを動かす能はず、いはんや区々くくたる地上の権力をや。大哲スピノザ、少壮にして猶太ユダヤ神学校にあるや、侃々かんかんの弁を揮つて教条を議し、何のはばかる所なし。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
こいねがわくば国民の選挙に対する態度が、帝国将来の運命に至大の関係を有することを深く考慮し、区々くくたる地方的感情や利己的小利害を棄てて、あくまで選挙の神聖を保つ事につとむると同時に
選挙人に与う (新字新仮名) / 大隈重信(著)