勢州せいしゅう)” の例文
わたしの顔を見ますると「勢州せいしゅうが見えたから何かやりな」と、面桶めんつうの中へ、きたてのご飯などを、お入れ下さるのでございます。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
第十四 紫蘇しそ飯 と申すのは勢州せいしゅう岩内いわうちの名物ですが大層味の良いもので先ず青紫蘇を塩水で洗って日に干してパリパリに乾かしておきます。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
我今まで恋とう事たるおぼえなし。勢州せいしゅう四日市にて見たる美人三日眼前めさきにちらつきたるがそれは額に黒痣ほくろありてその位置ところ白毫びゃくごうつけなばと考えしなり。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
だが一時は近在の民家に普く用いられ、なかんずく尾州びしゅう三州さんしゅう勢州せいしゅう、江州または京等に広い販路を得たようである。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
勢州せいしゅうの押えには、滝川一益たきがわかずますく者はなかった。彼は、分別者ではあるし、三河の松平家とは昵懇じっこんであるから、なにかにつけ、まかしておくことができる。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勢州せいしゅう山田、尾上おのえ町といえば目ぬきの大通りである。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
勢州せいしゅう産まれの乞食こじき権七ごんしち、そんなものにまで身をやつし、尾張家のためとはいいながら、あの立派な船を焼きはらったことは、もったいなく思われてなりません。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
勢州せいしゅう松ヶ島城の津川玄蕃。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして、その旗頼母はたたのもという武士こそ、勢州せいしゅうと呼ばれているこの乞食の私なのでございます。どうして武士の私が乞食などになっているかと申しますに、ある重大な計画の秘密を探るためなので。
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)