)” の例文
そのべとべとになった蒲団も、今はこの人たちの手に引つがされて、襤褸屑ぼろくずのなかへ突っ込まれることになった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
助役がちらと見ると、なるほど大きい鎧扉が蝶番から引つがされて、うへの桁に釘づけにしてある。
眼がめてから、サルーンに入って亜米利加の絵入りの雑誌をがして見た。そばには日本の雑誌も五六冊片寄せてあった。いずれも佐治文庫さじぶんこと云う判が押してある。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
命が惜しくねえのはどうでもいいが、乃公おれは今度ちっともいいことはねえ。正直のところ、引ッがした著物まで、赤眼の阿義あぎにやってしまった。まあそれも仕方がねえや。
(新字新仮名) / 魯迅(著)
たとへばお前のツぺたのあかいをがして、青くすることの出來ないやうな。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
とうとう函の板を、一枚メリメリと無理無体に引っがし取ってしまった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
スッカリ引っがしてしまえ。着物はこの寝台の上に並べろ。靴も……ズロースも……俺が後で検査してやるから。まだ別に日本内地のG・P・Uの名簿と暗号の鍵を隠して在る筈だからな。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)